各委員会の活動について

紛議調停委員会

活動内容

  1. 紛議調停委員会(以下、当委員会といいます。)は、熊本県弁護士会の会則第48条により、当会の常置委員会として設置されています。当委員会の任務は、会員の職務に関する紛議について調停をすることです。熊本県弁護士会紛議調停手続規程によれば、「紛議調停委員会は、会員の報酬問題その他の職務上の紛議について、当事者の互譲により、条理にかない、実情に即した円満な解決を図るため、公正妥当な調停をしなければならない」と定めています。
    委員会の委員は、会則第73条では3人以上5人以内とされていましたが、現在は委員11名で構成されています。
  2. 紛議調停は、請求人からの調停の申立によって始まりますが、調停の申立ができるのは、会員または事件当事者その他の利害関係人です(会則80条1項)。当会に紛議調停の申立がされると、当該紛議調停事件を担当する委員3名が委員の中から選任され、以後、その担当委員が調停手続を主催していきます。
    手続の流れは、基本的には、民事の調停手続の流れと同じと考えて良いでしょう。申立書面、答弁書、証拠関係書類等の交換、調停期日の指定と当事者の呼び出し、期日における事情聴取等を経て、まさに「当事者の互譲により条理にかない、実情に即した円満解決を図るため、公正妥当な調停」が成立するよう手続を進めています。
  3. 当委員会に申立される事件数は、ここ数年は平均して3~4件です。そのほとんどが事件依頼者と受任弁護士間の報酬を巡る事案であり、これは弁護士の依頼者に対する事前の説明不足が原因と思われる事案が多いようです。過去には依頼者からの預り金の返還を巡る事案や依頼者からの借入金返還を巡る事案もあり、調停事件から更に懲戒請求事件にまで発展したものもありました。また、特殊な事案としては、弁護士間の紛議調停というのもありました。
  4. 当委員会の任務が前記のようなことからすれば、調停事件は少ない方が良く、その結果、委員会の活動も活発でない方が本当は望ましいことです。しかし、近時の司法改革に伴う弁護士数の大幅な増加、弁護士・弁護士会と市民の間の距離の接近、弁護士の職務に対する市民の厳しい視線等により、われわれ弁護士・弁護士会に対する市民の不満や苦情が今後は更に増えることが予想されます。
  5. 当委員会としても、気を引き締めてその任務に当たる覚悟であります。
    会員各位も今一度、弁護士としての自覚は当然のこと、一市民としての目線でも自らの職務を振り返り、依頼者に対しては分かり易い言葉で丁寧にかつ十分な情報の提供と説明・報告をして、紛議調停の相手方にされないよう心がけましょう。