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「伊藤前長崎市長に対する銃撃事件」に厳重抗議する会長声明

2007.04.27
熊本県弁護士会 会長  三藤 省三

平成19年4月17日午後7時50分ころ,長崎市内において,同月22日投開票の同市長選に立候補していた伊藤一長前長崎市長が,暴力団幹部に背後から短銃で銃撃され,死亡するという事件が発生した。
犯人は,今回の凶行の動機について,市発注の工事現場で発生した事故の補償について,市の対応に不満があったなどと供述していると報道されているが,その政治的・思想的背景の有無や真の動機については,未だ捜査中であり,真相究明は司直による捜査の進展を待たねばならない。しかし,その動機がどのようなものであれ,現職の市長に対し,市長選のさなかに行われた銃撃行為は,政治活動に対する重大なテロ行為であって,断じて許すことはできない。このような政治テロは,標的となった当該政治家のみならず,他の政治家やその他諸氏諸団体の政治活動および言論の自由を抑制・萎縮させかねないもので,基本的人権の尊重および民主主義というわが国の法制に対する重大な挑戦であり,断じて許されない。
暴力団員が短銃を使用して尊い人命を奪ったことは、国民を不安に陥れる卑劣な行為であるだけでなく,自らの要求を暴力によって通そうとすることは,公正,公平を旨とすべき社会秩序を蔑ろにしようとするものであり,わが国の市民社会に対する重大な脅威であって,強い憤りを禁じ得ない。
我々熊本県弁護士会は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現するという弁護士の使命に照らし,今回の基本的人権および民主主義を否定せんとする暴挙である伊藤前長崎市長に対する銃撃行為に対し厳重に抗議する。
また,当会は,これまでに市民・企業・行政において,暴力団等の反社会的勢力からの不当要求を排除する運動が後退することのないよう,警察等他関係機関と連携のうえ暴力団等の反社会的勢力による不当要求を防止し,排除するための活動をより一層積極的に果たしていくことを決意するものである。
最後に,志半ばで凶弾に倒れた伊藤前市長のご冥福を心からお祈りする。