特例金利に反対する緊急声明
2006.09.07
熊本県弁護士会 会長 竹中 潮
貸金業制度及び出資法の上限金利の見直しを検討していた金融庁及び法務省は、9月5日、自民党貸金業制度等に関する小委員会に内容を明らかにした。その内容は、報道等によると、「改正」法案は、公布から1年で施行し、施行後3年かけて上限金利を引き下げ、さらにその後、最長5年に亘り、「特例金利」を認め、その間最大9年間はグレーゾーン金利を温存するというものである。この「特例金利」は、30万円または50万円までの「少額短期特例」と、数百万円までの「事業者向け特例」であり、いずれも年利28%を認め、さらに特例延長の余地も残されている。
しかし、今回の法改正は、最高裁判所が貸金業規制法43条(グレーゾーン金利)の適用を否定して利息制限法による債務者救済を図る判決を相次いで示したことを踏まえ、深刻な多重債務問題を解決するために行うものである。このことは、政府与党が、7月6日に出した「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」や、金融庁でこれまで断続的に開催されてきた「貸金業制度等に関する懇談会」でも確認されている。しかも8月24日に開催された同「懇談会」では、特例金利の導入に反対の意見が委員の大勢を占めたものである。
また、今や高金利引き下げの署名は全国で300万人を超え、熊本県を含む39都道府県、880を超える市町村議会が、高金利引き下げの意見書を採択している。
上記「改正」法案は、長期にわたって「グレーゾーン金利」を温存し、利息制限法の制限を超える新たな「特例金利」を導入するものであって、高金利の引き下げを求める国民の声を無視するものであって、当会はこれを許すことはできない。
したがって、当会は、政府及び国会に対し、上記特例金利を設置しないこと、直ちに、貸金業規制法43条・みなし弁済規定を廃止することを強く求める。
以上