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「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」による菊池恵楓園入所者  宿泊拒否に対する会長声明

2003.11.19
熊本県弁護士会 会長 塚本 侃


本年11月18日、熊本県は、県主催の「ふるさと訪問事業」の実施にあたり、株式会社アイスター経営にかかるアイレディース宮殿黒川温泉ホテルが、菊池恵楓園に入所する元患者の宿泊を拒否したことを明らかにした。
熊本県によれば、県は当該温泉ホテルに対し、ハンセン病に関する資料を示し、感染をする恐れがないことを説明するなど、再三にわたり理解を求めたにもかかわらず宿泊を拒否されたとのことである。このような宿泊拒否は、ハンセン病に対する言われなき差別と偏見に基づくものであり、極めて重大な人権侵害であることは明らかである。
当会は、ハンセン病政策及び「らい予防法」を違憲と断じ、ハンセン病元患者らの国家賠償請求を認めた熊本地裁判決が出た地元弁護士会として、ハンセン病問題をはじめとして様々な人権問題に取り組んできた。
今般この熊本の地で、このような重大な人権侵害が起こったことは誠に遺憾である。
当会は、ハンセン病元患者に対する言われなき偏見差別に基づく宿泊拒否に対し、株式会社アイスター及びアイレディース宮殿黒川温泉ホテルに対し、断固抗議をすると共に、熊本県におかれては、この問題に対し旅館業法違反を含む断固たる処置を執られることを要望し、さらに関係団体、地元各自治体、及び厚生労働省におかれては、このような宿泊拒否等ハンセン病元患者らに対する言われなき偏見差別が二度と生じないような施策を講じられるよう強く要望する。


以上