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例外なき金利規制を求める会長声明

2006.07.19
熊本県弁護士会 会長 竹中 潮

 政府与党は今月6日、「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」をまとめた。これは、グレーゾーン金利の廃止を始め、広告規制・行為規制の強化等を通じた貸金業の適正化、総量規制の強化等による過剰貸付の抑制の他、低所得者世帯に対して行っている緊急小口貸付等の拡充・強化を盛り込む等、現今の多重債務問題の深刻化を踏まえ、その解決策として、一定の評価を与えうるものである。
 しかし、同考え方は、グレーゾーン金利廃止後の金利水準につき、「出資法の上限金利を利息制限法の金利水準に引下げるべきとの意見が大勢であった。」とするものの、同考え方のうち、
①引き下げ後の金利水準が、現行の利息制限法以上となる余地を残していること、
②日賦貸金業者の特例金利については、一定の経過期間の下に廃止としているが、これに替わって少額短期の貸付や事業者に対する貸付につき特例金利を認める余地を残していること、 
③金利の概念について、保証料を含めるかどうか不透明である一方で、逆にATM手数料等を金利とは別の費用として認める余地を示していること、
の3点は、看過できない問題点を含むものあって、これを認めることはできない。
 当会は、深刻な多重債務問題の解決のためには、一義的に出資法の上限金利を利息制限法まで引き下げることが重要であると訴えているが、
 上記①は、現行の利息制限法の制限金利年15~20%ですら、統計資料による分析によれば、平均的な世帯にとって、返済不能を招く可能性が極めて高いことが指摘されていることに対する認識を欠いており、
 上記②は、日賦貸金業者よる被害が極めて深刻であることに照らせば、その特例金利は「直ちに」廃止すべきであり、これに替わる上記特定金利を設ければ、現状の貸金業者からの平均的な借り主のほとんどがこの特例に該当することとなり、特例金利廃止の意義が没却されるものであり、
 上記③は、現今の貸金業者が、保証料に限らず調査手数料等の他、返済期を短く区切ったうえ、その貸付・切替毎に、媒介手数料、仲介料、保証人あっせん手数料等あらゆる名目の手数料・費用を徴収し、あるいは意を通じた第三者をして徴収させ、借り主にとっては、ヤミ金並の実質金利負担となる場合もあることを看過するものである。
 したがって、当会は、「出資法の上限金利を利息制限法の金利水準に引下げる」にあたっては、金利概念を広くとらえ、例外のない金利規制をあらためて求めるものである。


以上