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MV-22オスプレイの普天間飛行場配備及び飛行に抗議する声明

2012.11.09

1 沖縄在留米軍海兵隊は、去る10月4日、普天間飛行場に配備したMV-22オスプレイの訓練飛行を開始した。

  オスプレイは、開発段階から事故を繰り返していたばかりでなく、2005年に量産体制に移行した後も事故が絶えず、最近も、本年4月11日、米海兵隊のMV-22がモロッコでの訓練中に墜落し搭乗員2名が死亡する等の事故を起こし、さらに本年6月14日、フロリダ州で訓練中のCV-22オスプレイ(米空軍向けの同一機種)が墜落し乗員5名が負傷する事故を起こしている。

  米海兵隊は、これらの墜落事故について人為的ミスが原因であることを強調するが、わずか2か月あまりの間に2度の墜落事故が発生していること自体看過できないものであり、仮に、これらの事故原因が人為的ミスであったとしても、それが直ちに墜落事故につながっていることからすれば、オスプレイ自体が事故発生の危険性が極めて高い機種であるといわざるを得ない。

2 米国が発表した「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関するレビュー」によれば、オスプレイは沖縄本島のほぼ全域を飛行するほか、大分県から福岡県、熊本県、宮崎県の山間部を飛行する「イエロールート」が含まれていることも明らかになっている。熊本県内では、山鹿市、菊池市、阿蘇市、南阿蘇村、高森町、山都町、美里町、八代市、水上村、湯前町の10市町村の上空を飛行することとされている。

  そのため、水上村議会では同機の飛行中止を求める意見書が、菊池市議会、山都町議会では同機の配備・飛行に反対する請願書が、阿蘇市議会、南阿蘇村議会では同陳情書がそれぞれ採択されたほか、菊池市長、合志市長、八代市長が同機の配備・飛行に反対を表明している。

3 今般のオスプレイの配備及び飛行の強行は、沖縄県民のみならず、飛行ルートに含まれている熊本県内の住民の生命・身体及び財産に対する重大な侵害のおそれを生じさせるものであり、憲法が保障する幸福追求権の一内容である人格権(13条)、平和のうちに生きる権利(前文、9条、13条)の精神に反するといわざるを得ず、当会として到底これを看過することはできない。

  当会は、このようなオスプレイの配備と飛行に対して強く抗議し、米国政府に対し、オスプレイの普天間飛行場への配備計画を即時撤回するよう強く求めるとともに、日本政府に対して、オスプレイの日本配備を白紙に戻すべく米国と交渉するよう強く求めるものである。

  2012(平成24)年11月6日

       熊本県弁護士会 会長 坂本 秀徳