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「熊本大学大学院法曹養成研究科の募集停止決定」に関する会長声明

2015.03.25

 熊本大学は、熊本大学大学院法曹養成研究科(以下「熊本大学法科大学院」という。)の入学者の募集を平成28年度から停止することを決定した。

 熊本県弁護士会(以下「当会」という。)は、平成27年2月27日付けで、「熊本大学大学院法曹養成研究科の募集停止に関する会長声明」を発表し、熊本大学法科大学院の存続を強く求めてきたところである。
 当
会が、熊本大学法科大学院の存続を強く求めてきたのは、地域における法曹養成を通じて、法の支配を日本の隅々まで行き渡らせるという司法制度改革の目的を実現するためである。
 実
際に、熊本大学法科大学院は、これまで九州地区在住の法曹志望者に対し、法曹となるための教育を受ける機会を提供してきており、その結果、同法科大学院を卒業した司法試験合格者42名のうち、24名が当会の会員となり、地域司法の発展に貢献すべく、職務や会務に尽力している。
 こ
のようななか、熊本大学法科大学院の募集停止決定は、その地域における法曹養成の要となる存在が消滅することを意味し、今後は熊本に在住しながら勉強をして法曹を目指すことができなくなるなど、九州全体の法曹志望者に深刻な影響を与えることは必至であり、かつ法科大学院の地域適正配置の一角が崩れることにより都市部と地方の格差は拡大する一方となる。
 こ
のような容認しがたい結果が招来することが明らかであるのに、今回の募集停止の決定がなされたことは誠に残念であり、熊本大学をこのような決定をせざるを得ない状況に追い込んだ現在の法曹養成制度改革は、地方の事情を十分に考慮していないものと言わざるを得ない。
 当
会は、今後も熊本大学法科大学院に対する協力・支援を継続する所存であるともに、熊本大学が熊本大学法科大学院の学生に対し、良好な学習環境を維持することを強く求めるものである。

                  平成27年3月25日
                     熊本県弁護士会
                     会 長  内 田 光 也