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夫婦同姓強制及び再婚禁止期間等の民法の差別的規定の早期改正を求める会長声明

2015.04.16

 本年2月18日、最高裁判所は、選択的夫婦別姓を認めていない民法第750条が憲法第13条、第14条、第24条及び女性差別撤廃条約第16条第1項(b)、(g)に違反するとして男女5人が国に損害賠償を求めた訴訟の審理を大法廷に回付し、さらに、同日、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法第733条が憲法第14条及び第24条に違反するとして女性が国に立法不作為による損害賠償を求めた訴訟についても、審理を大法廷に回付した。
 日本政府は、国連の自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会から、上記民法第750条及び民法733条のほか、婚姻適齢について男女の差を設けている民法第731条について、繰り返し懸念を表明され、これらの女性差別的規定の改正に向けて早急な対策を講じるように要請されている。
 現
行の夫婦同姓を強制する制度の下、婚姻に際し多くの夫婦が夫の氏を選択しているという現状において、多くの女性が職業上・社会生活上様々な不利益・不都合を被っている。氏名が人格権の一内容を構成すること(最高裁第二小法廷昭和63年2月16日判決)に鑑み、また、真の両性の平等と男女共同参画社会を実現する上で、夫婦同姓の強制は、早急に見直すべきである。
 ま
た、女性のみに再婚禁止期間を課している規定についても、今日の科学技術の発達によって父子推定の衝突回避という立法事実は既に失われており、撤廃が強く求められる。
 さ
らに、婚姻適齢について男女の差を設けている規定についても、このような差別を認めるだけの合理的な立法事実は全く存在せず、早急に見直されるべきである。
 当
会はこれまで、民法第731条、第733条、第750条の改正を多年にわたって求めてきた。これらの条文を改正する民法改正案要綱を法制審議会が決定してから、すでに約19年もの期間が経過している。
 当
会としては、国会に対し、最高裁判所による司法判断を待たずに、不合理な差別的規定である民法第731条、第733条、第750条を早急に改正するよう再度強く求めるものである。

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2015(平成27)年4月16日

熊本県弁護士会 会長  馬 場   啓