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いわゆる共謀罪法の成立に強く抗議し,廃止を求める会長声明

2017.08.09

 2017年(平成29年)6月15日,いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正法(以下「共謀罪法」という。)が参議院本会議で強行採決され成立した。
 当会は,これまで3度にわたり,共謀罪に反対する会長声明を発出し,共謀罪の問題点について述べてきたところである。すなわち,共謀罪には,思想ではなく行為を処罰するという刑事法体系の基本原則に反するものであること,処罰範囲が不明確であり,言論の自由・集会の自由・結社の自由等の基本的人権に対しての萎縮効果が生じるおそれがあること,捜査機関による個人間の会話や通信等の監視が強化されるおそれがあることなど,多くの問題点が存する。
 したがって,共謀罪法の採決にあたっては,十分な議論と慎重な審理がなされるべきであった。それにもかかわらず,衆議院法務委員会において採決が強行され,参議院においては,法務委員会の採決が省略され,中間報告をもって本会議の採決がなされるという,極めて異例の,議会制民主主義を蔑ろにするような手続がとられた。
 このように,共謀罪法は,その内容に問題点が多数存するばかりか,その成立に至る手続にも問題点が存する以上,廃止されなければならない。
 そして,共謀罪法は、警察等が適用する場面において、人権侵害のおそれが強く認められることから、共謀罪法が廃止されるまでの間においても,市民のプライバシーその他の人権を守るために、裁判所・弁護士等の司法が果たすべき役割は大きい。
 この点,ジョセフ・カナタチ国連人権理事会特別報告者が,共謀罪法に関し,プライバシーを守るための仕組みが欠ける懸念事項の1つとして,警察がGPS捜査や電子機器の使用のモニタリングをするために裁判所の許可を求める際の司法の監督の質について懸念を示しているところであり,共謀罪法の恣意的運用を防止するためにも,司法の警察等への監督の質を高めていかなければならない。
 よって,当会は,共謀罪法の成立に強く抗議し,その廃止に向けた取組みを行うとともに,その廃止までの間は同法が恣意的に運用されることがないよう注視していく所存である。

2017(平成29)年8月8日
熊本県弁護士会
会長 宮 田 房 之