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令和2年7月豪雨を対象とした義援金の差押禁止法等の制定を求める会長声明

2020.07.17

 令和2年7月豪雨により、熊本県内を含めた全国各地で、多大な人的・物的被害が発生したことを受けて、熊本県や県内各市町村でも義援金(以下「災害関連義援金」という。)の受付が始まっている。
 今後これら自治体から被災者に配分される災害関連義援金は、被害を被った被災者が生活再建の資金として安心して用いることができるよう、債権者による差押えを禁止する立法上の措置がなされなければならない。
 また、令和2年7月豪雨について災害救助法の適用もなされたことで、平成27年12月に策定された自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(以下「自然災害債務整理ガイドライン」という。)に基づいた被災者支援も進むこととなるが、その手続上、差押禁止財産は債権者への弁済ではなく被災者の生活再建に用いることが可能ないわゆる自由財産となるから、災害関連義援金の差押えを禁止とする意義は極めて大きい。
 平成28年熊本地震に関しては、平成二十八年熊本地震災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律(平成28年法律第67号)が制定されたことによって、350件超が成立した自然災害債務整理ガイドラインに基づく手続において、災害関連義援金を一律に自由財産とすることが可能となり、被災者の生活や事業再建、被災地の復興に大きく寄与している。
 これまで、東日本大震災以降の一定の災害についてのみ、災害関連義援金の差押えを禁止する個別法が制定されてきた。本来であれば災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第1号に定める災害を広く対象として災害関連義援金の差押えを禁止する一般法が求められるが、この度の令和2年7月豪雨については、個別法による迅速な対応が必要である。
 そこで、当会は、今般の令和2年7月豪雨災害について早急に、被災者に支給される災害関連義援金の差押えを禁止する個別法が制定されること、及びできる限り早い段階で、より広い災害を対象とした同趣旨の一般法が制定されることを求める。??

  2020年(令和2年)7月17日
熊本県弁護士会
 会長 鹿瀬島 正剛