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あらゆる差別の撤廃及び男女共同参画の実現に向けた会長談話

2021.03.05

 我が国は、日本国憲法第14条で性別による差別を禁じているほか、女子差別撤廃条約を締結し、男女共同参画社会基本法・女性活躍推進法や内閣府の第5次男女共同参画基本計画を定める等、男女共同参画の実現に関する取組が行われてきた。また、世界に目を向けると、ジェンダー平等の実現が持続可能な開発目標(SDGs)の一つとして掲げられており、あらゆる差別を撤廃しようという活動が行われている情勢にある。以上のとおり、日本の国内外において、現在、男女共同参画を実現して多様性ある社会を目指そうとしている状況にある。

 かような状況において、2021年2月3日、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長(当時)は、公益財団法人東京オリンピック委員会の臨時評議員会において、スポーツ団体ガバナンスコードが設定した女性理事の目標割合(40%以上)の達成につき、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」、「私どもの組織委員会...(の女性は)みんなわきまえておられて」などと発言した。

 一連の会長発言は、我が国において根深く残るジェンダーに関する差別が事象として表れたものであって、到底看過できず、許されないものである。そして、前記の会長発言は、我が国のみならず国際的にも強い批判を浴び、ジェンダーをはじめとするあらゆる差別の撤廃及び男女共同参画社会の実現が重要であることをあらためて強く認識させる契機となった。

 当会でも、男女共同参画を推進すべく、2008(平成20)年1月8日に「熊本県弁護士会における男女共同参画社会の実現のためのポジティブアクションについて」を確認し、2018(平成30)年3月6日に「男女共同参画を推進する宣言」を採択する等してきたものの、執行部や常議員会、委員長といった政策・方針決定過程への女性会員の参画は拡大したとは言い難く、男女共同参画の道半ばにある。

 そこで、当会は、日本国憲法第14条、男女共同参画社会基本法・女性活躍推進法等に則り、ジェンダーをはじめとするあらゆる差別の撤廃及び男女共同参画社会の実現に向け、より一層の努力を重ねていく所存である。

2021年(令和3年)3月5日

熊本県弁護士会

会長  鹿瀬島正剛