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最高裁判所大法廷決定を受けて、改めて民法750条を改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを求める会長声明

2021.07.14

 2021年(令和3年)6月23日、最高裁判所大法廷は、夫婦同姓を強制する民法750条及び戸籍法74条1号について憲法24条に違反するものではないと判断した。
 今回、最高裁判所大法廷は、多数意見において2015年(平成27年)12月16日の大法廷判決を引用した上で、同判決以降にみられる諸事情を踏まえても判断を変更すべきものとは認められないとして、両規定を合憲とした。
 今回の決定は2015年(平成27年)の判決を引用したのみで、民法750条の違憲性について実質的な検討をしていないに等しく、極めて不当である。
 当会が2015年(平成27年)12月21日付け会長声明等でかねてから指摘しているとおり、民法750条は、憲法13条及び24条2項が保障する個人の尊厳、24条1項及び13条が保障する婚姻の自由、14条1項及び24条2項が保障する平等権、並びに女性差別撤廃条約16条1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」を侵害するものである。
 今回の最高裁判所大法廷において、4人の裁判官が違憲と判断しており、違憲ではないとした多数意見も、「制度の在り方は、平成27年大法廷判決の指摘するとおり、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。」と重ねて指摘していることから、国会は、最高裁判所大法廷が二度にわたり、国会の議論を求めていることを重く受け止めるべきである。
 当会は、国に対し、改めて民法750条を速やかに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを強く求める。

2021年(令和3年)7月14日
熊本県弁護士会
会 長   原  彰 宏