ロシア連邦のウクライナ侵攻に関する会長談話
2022年2月24日、ロシア連邦がウクライナに対して軍事侵攻を開始し、子どもを含め既に多数の犠牲者が出ていると報道されています。
戦争が人々の生命・身体を脅かす最大の人権侵害行為であることは言うまでもありません。
また、国連憲章は、第2条において、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と定めています。
ロシア連邦の軍事侵攻が国連憲章に違反し、重大な人権侵害に当たることは明らかです。当会は、このようなロシア連邦の行動を強く非難し、軍事侵攻を直ちに止めることを求めます。
日本国憲法は、過去の大戦の反省から、その前文において「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」として平和的生存権を定め、また、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」と明記しています。このような観点から、日本政府を含む国際社会には、非軍事的手段での問題解決に向けた一層の努力を期待します。
この度の軍事侵攻に対しては、日本ないし世界各国で反戦を訴える声が上がり、ロシア国内でも多くの市民が反対の意思を表明しています。当会は、これら市民の活動を強く支持し、ウクライナをはじめとする市民の方々が一日も早く平穏な日々を取り戻せることを願ってやみません。
私たち弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする立場から、ロシア連邦によるウクライナ侵攻に対し強く抗議するとともに、平和的手段によって戦争の惨禍がすみやかに食い止められることを希求し、本談話を発表致します。
熊本県弁護士会
会長 原 彰 宏