熊本県内の地方自治体に対し、性的指向・性自認(性同一性)についての施策の実施・推進を求める会長声明
誰もが、生まれた時に割り当てられた性別のとおり生き、異性を愛するわけではありません。どのような性を生きるのか、また、誰を愛し・愛さないのかは、その人がその人として生き、幸福を追求する上でかけがえのないことであり、尊重されなければなりません。
法務省人権擁護局の啓発活動強調事項にも「性的指向及び性自認(性同一性)を理由とする偏見や差別をなくそう」と掲げられていますが、日本では法律上の性別が同じ者どうしのカップルには全く法的な保障がなく、そして、LGBTなどの性的マイノリティの人々に対する差別や偏見はいまもなお根強く存在します。
このような中、少なからずの地方自治体においては、性的指向や性自認(性同一性)による区別取扱いの解消や理解促進に向けた施策が実施・推進されてきました。
熊本県内の地方自治体においては、熊本市、大津町、菊池市がパートナーシップ宣誓制度を導入しています。パートナーシップ制度には婚姻のような法的効果はありませんが、住民や事業者への啓発となり、また、法改正をせずとも可能な行政サービスの提供に繋がります。パートナーシップ制度以外でも、国民として主権を行使する上で極めて重要な権利である選挙権の行使が実質的に妨げられないよう、投票所入場券から性別表記を無くすなどの施策を、熊本県内の地方自治体の多くが行っています。
熊本県弁護士会は、平成30年3月6日に採択された「男女共同参画を推進する宣言」において、性的指向及び性自認に関する差別的な取扱いを防止するための取り組みや性の多様性尊重に関する取り組みを進めることを宣言しています。当会は、会内での取り組みを進めるとともに、熊本県内の地方自治体に対し、以下のような施策のより一層の実施・推進を求めます。
1 パートナーシップ制度を導入すること(すでに導入している地方自治体については制度のより一層の周知及び同性カップルが利用可能な行政サービスの拡大を行うこと)
2 その他、性的指向や性自認(性同一性)による区別取扱いの解消に向けた施策を行うこと
3 その他、性的指向や性自認(性同一性)についての理解促進に向けた施策を行うこと
熊本県弁護士会
会長 福岡 聰一郎