日照権が侵害されそう(熊本日日新聞 2013年6月8日付)
2013.06.08
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Q 私の自宅の隣に高層マンションが建設されるようです。わが家は木造の2階建てです。建てた時は近所に高い建物もなかったのですが、これからは日当たりなども心配です。どうしたらよいのでしょうか。
A 日当たりが良いと、洗濯物をよく乾かせます。冬は奥まで差し込んでくる日の光が部屋を明るく暖かくし、衛生上の効果もあります。こうした日照を受ける生活上の権利は「日照権」と呼ばれ、法的な保護を受けることができます。
建物が建つ前と建った後の日照の違い、その地域の様子、建築される建物の用途、その建物の形を変えられるか-などの交渉過程を考慮して、受忍限度を超えると判断されたら損害賠償を請求することもできます。
さらにその程度がひどい場合には、裁判所に仮処分による建築工事の差し止めの請求をすることもできます。建築基準法に適合していても、日照権を侵害したかどうかは個別的・具体的に判断されるので、お金の問題というだけでなく、侵害がひどければ差し止めも考えられます。
大事なことは、建てられる前に施主や建築業者と交渉することです。事前の工事説明会などで、春夏秋冬の日照状態をしるした日影[にちえい]図を提出してもらい、建物の建設変更も含めて交渉することが大事です。
県の公害審査会などや簡易裁判所に調停を求めることも考えていいと思います。詳しくは、弁護士に相談してください。
弁護士 板井 優