引き渡し前の建物被災(熊本日日新聞 2016年10月18日付)
2016.10.18
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Q 売買契約を締結して建物を購入したのですが、引き渡しを受ける前にその物件が地震で被災してしまいました。このまま引き渡しを受けても、多大な修理費がかかります。契約の解除や修理を求めることはできないのでしょうか。
A 契約締結後に不動産が天災によって損傷した場合には、原則として、契約の解除や補修を認める瑕疵担保責任(民法570条)の適用はないと考えられています。
しかし、このような場合に契約の解除や修理を求められないのは不合理ですから、通常の不動産売買契約には引き渡し前の被災で不合理な結果を招かないように、特別な規定を設けています。
具体的には▽物件引き渡し前に地震などによって物件が滅失した場合、契約解除を認める▽物件が損傷した場合、補修した上で引き渡す-といった契約条項を定めるケースが多いようです。
不動産業者を仲介した売買契約であれば、きちんとした契約書を用意するため、このような規定が入っているでしょう。しかし、仲介なしで個人間で不動産を売買する場合、規定を設けていない契約になっているかもしれません。
まずは契約書を確認しましょう。また、今後物件を購入される際には、このような規定があるかどうかを契約の際にきちんと事前に確認しておくことが重要です。
弁護士 金子明真