所有地の境界特定(熊本日日新聞 2016年10月25日付)
2016.10.25
震災関連 震災関連
Q 地震で崩れた塀を取り壊した後、隣の敷地との境界が分からなくなってしまいました。どうすればいいでしょうか。
A 境界とは、あなたと隣人がそれぞれ所有する土地の境目として、所有権の範囲を区分するものです。どこまでがあなたの所有地で、どこからが隣人の所有地であるかは、当事者間の合意で決めることが可能です。その際に参考になるものとして、登記簿上の境界(筆界)があります。法務局の筆界特定制度を利用し、この筆界をそれぞれの所有権の範囲と決めることができます。
実際の所有権の範囲と筆界が一致しない場合には、土地家屋調査士や測量士に依頼し、関係者全員の立ち会いのもとで測量した測量図を作ってもらい、境界を確認する方法も考えられます。
ほかにも、法務局備え付けの公図・字図や、土地の面積、地形、土地の占有状況などが境界を決める上での資料となります。
測量に立ち会ってもらえない場合や当事者だけでの話し合いが難しい場合は、第三者に入ってもらい、合意による解決を図る手続きがあります。所有権の範囲を確認する調停申し立てや、弁護士会のADR(裁判外紛争解決手続き)などです。
それでも解決しない場合は、裁判所に所有権確認の訴えを起こし、所有権の範囲を決めてもらう必要が出てきます。ただ、訴訟では感情的対立が深まることもあるので、まずは話し合いによる解決を検討してはいかがでしょうか。
弁護士 井上莉野