相続手続きの進め方(熊本日日新聞 2016年10月5日付)
2016.10.05
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 先月、夫が亡くなりました。私と夫には、息子と娘が1人ずついます。それ以外に相続人はいません。夫は、自宅のほかにも不動産を所有しており、預貯金もあります。どうやって手続きを進めたら良いでしょうか。
A 相続が開始されると、相続人は相続財産の確定を行わなければなりません。相続財産には、不動産や預貯金など正の財産と、住宅ローンや借金など負の財産が含まれます。まず、それらを確定します。負の財産が正の財産を大きく上回る場合には、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行うことを検討すべきでしょう。申述には、相続人が相続開始を知ってから原則3カ月以内の期間制限があります。
また、2015年1月の相続税法改正により、相続税を納付しなければならないケースが増えました。改正前は、1人がお亡くなりになると、基礎控除として、5千万円と法定相続人の人数に1千万円を乗じた額の合計額まで非課税でした。ところが改正後、基礎控除は、3千万円と法定相続人1人あたり600万円の合計額に引き下げられたためです。基礎控除を超える財産を持つ被相続人の相続では、納税が必要です。
ご質問のケースでは、正の財産から負の財産を差し引いた財産が4800万円(3千万円プラス600万円×3)を超える場合に、相続税の申告が必要です。
相続税や遺産分割協議の進め方などでお悩みの方は、ぜひ弁護士へご相談ください。
弁護士 藤井祥子