自宅に倒れかかる隣家(熊本日日新聞 2016年11月15日付)
2016.11.15
震災関連 震災関連
Q?隣の家が地震で傾き、自宅に倒れかかっています。地震の回数は減っていますが、自宅が壊れないか心配です。私が隣家を修繕したり、撤去したりできますか。
A?まずは隣人に修繕や撤去を求めてください。隣の家が自宅に倒れかかっているとしても、その家の所有者は隣人です。所有者の承諾なく修繕・撤去すると、隣人から損害賠償を請求される可能性があります。
もっとも、緊急性がある場合は別です。自分や家族の生命、財産を守るため、必要最小限度の範囲で隣家の修繕・撤去がやむを得ないケースでは「自力救済」が認められることもあります。民法では「緊急避難」といいます。
その場合、修繕・撤去の緊急性や必要性が高いことを立証するため、必ず隣家の状況を写真に撮るなどして記録しておきましょう。
また、二次被害防止のために必要な修繕や解体であれば、本来は隣人が対応して負担すべき費用となります。その費用は後日、隣人に請求できますので、領収書は必ず保管しておいてください。
とはいえ、自力救済が認められるハードルは高いです。自分で修繕・撤去に着手する前に必ず、隣人に対応を求めましょう。市町村などにも相談し、危険な建物撤去など二次被害防止の措置を求めてください。
弁護士 中村このみ