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認知症で遺産分割協議困難(熊本日日新聞 2016年11月30日付)

2016.11.30
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 熊本地震で自宅が全壊したため、土地を息子に譲渡して息子名義で家を新築したいのですが、土地は亡くなった私の父の名義のままで、父の相続人である私と母との間で遺産分割協議はしていません。母は現在、重度の認知症で施設にいます。どうすればよいでしょうか。

 A 遺産分割協議は、相続人全員で行う必要がありますが、認知症などで判断能力を欠いている相続人は協議ができません。この場合、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、後見人を選任してもらう必要があります。その上で、後見人が被後見人に代わって遺産分割協議を行います。
 もっとも、後見人は、被後見人の今後の生活費が不足しないよう配慮しなければなりません(民法858条)。そのため、後見人が遺産分割協議を行う際には、特段の事情がない限り、被後見人の法定相続分以上の取り分を確保するよう努めることになります。従って、遺産が不動産だけで、被後見人以外の相続人がその不動産を取得する場合、その相続人は、被後見人に対し、被後見人の法定相続分の代償金を支払わなければならない場合があるのです。
 この事案では「相談者が土地を取得し、お母様に対して法定相続分の代償金を支払う」という内容の遺産分割協議を相談者と後見人の間で行った後、相談者から息子さんに土地を譲渡する方法があります。事案によって解決策はさまざまです。お気軽に弁護士にご相談ください。
                           弁護士 園田理美

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