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「残業で病気」は労災?(熊本日日新聞 2016年12月14日付)

2016.12.14
労働問題 労働問題

 Q 仕事量が増えて、毎日、長時間の残業が続いてつらいです。過労で病気になった場合、労災認定してもらえますか。

 A 仕事量と労働時間の調整は難しい問題ですが、本来、労務管理上の重要な職責として、経営者や管理職が適正に行うべきものです。しかし一部の職場では「サービス残業」「持ち帰り残業」などが横行し、安易な労務管理による無理や矛盾が、働く側に押しつけられているケースが見られます。
 仕事による過労で心身の健康を害した場合、「業務上の疾病」として労災補償の対象となることがあります。一定の疾病に関する労災認定について厚生労働省は、(1)「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準」(2)「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定め、評価の対象や方法を設定しています。
 いずれの基準でも、発症・発病に至るさまざまな要因を総合的に判断しますが、長時間労働は主要な評価対象事実です。典型例として(1)の「脳・心臓疾患」では、発症前1カ月間におおむね100時間、または2~6カ月間にわたり1カ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、それ自体で業務と発病・発症との関連性を認める方向で評価する事実として位置づけているといえます。
 (2)の「精神障害」では、発病直前の1カ月間におおむね160時間を超える、もしくはこれに満たない期間に同程度の時間外労働を行ったような場合です。
                           弁護士 松林清文