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被災マンション法(熊本日日新聞 2017年3月7日付)

2017.03.07
震災関連 震災関連

 Q うちの分譲マンションは地震で損壊したまま何の対策もとられていません。今後、どのようなことを決める必要がありますか。

 A 修繕(復旧)をするケースが多いと思われます。損壊した共用部分の復旧は、「大規模一部滅失」と評価される場合は、区分所有者の4分の3以上の人が賛成し、かつ議決権の4分の3以上の賛成ですることができます。「小規模一部滅失」と評価される場合は、区分所有者及び議決権の各過半数による決議(普通決議、規約で別段の定めも可)が必要です。
 議決権の割合は各区分所有者が専有する床面積の割合により決まるのが原則ですが、マンション管理規約で異なる定めもできます。確認しておくのがよいでしょう。
 建て替えや敷地売却などをする場合も、集会で決議する必要があります。昨年10月5日、熊本地震に「被災マンション法」を適用する政令指定がなされました。これにより、本来は「全員の同意」がなければ決議できなかったものが一定の「多数決」でできるようになるなど要件が緩和されたものもあります。
 もっとも、「大規模一部滅失」の場合の取り壊し決議、建物敷地売却決議、建物取り壊し敷地売却決議については今年10月4日までとされるなど、被災マンション法の適用には期限があります。集会の開催には、2カ月前までに招集通知を送付し、1カ月前までに説明会を開くなどの手続きが必要です。早めに対応することが求められます。
                           弁護士 伊藤英範