障害者への「合理的な配慮」(熊本日日新聞 2017年1月11日付)
2017.01.11
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Q 先日、私がオーナーシェフを務めるレストランに、車いす利用のお客様が来店されようとしたのですが、入り口に数段の段差があり、私とスタッフがお客様に気付くことも遅れたため、結局そのお客様は入店できずにお帰りになってしまいました。大変申し訳なく思い、今後は車いす利用のお客様にも配慮した店にしたいのですが、この場合、店には費用をかけて入り口を改修することまで求められるのでしょうか。
A 2016年4月から、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行され、国や公共団体のほか、相談者のような民間の事業者に対しても、障害のある人に対する合理的な配慮を行うことが求められています。
相談のケースにおける「合理的な配慮」として、例えば入り口にスロープを設けることが考えられます。しかし、設置場所の確保や設置費用の関係で、お店の経営が成り立たなくなるような過重な負担までは求められていません。
もっとも、過重な負担であるかどうかはケース・バイ・ケースであり、単に費用がかかることのみを理由として、合理的な配慮が不要になるわけではないことに注意が必要です。
いずれにしても、お客様の求めに応じて、車いすを持ち上げて入店を補助するなど、スタッフも含めて日頃から合理的な配慮を心がけることが求められています。
弁護士 松本美季