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病院の責任を問うには?(熊本日日新聞 2017年2月8日付)

2017.02.08
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 Q 高齢の親が骨折で入院中に発熱したので担当の医師に異常を訴えましたが、風邪だとして検査されませんでした。ところが実際には重い感染症で、その後、亡くなりました。病院の責任を問うには、どのような点が問題ですか。

 A 医療事件は医療の現場で何が起きたのか、なぜそのような結果が生じたのか分からない中、いわば密室でのやりとりについて、病院側の責任を追及するものです。相手方である医師は医療の専門家です。これに対して患者は素人で、医療に関する知識も経験もありません。ハンディがついた状態で病院の責任を追及することに、医療事件の特徴があります。
 医療行為の過程で何が起きたのかを知るには、カルテなどの収集が必要です。病院側にはカルテ類の開示義務があります。開示を請求し、難解なカルテ類の読解から始めます。協力してくれる医師のアドバイスも必要です。医学文献を検索し、過去の医療事故の裁判例を検討することも必須です。
 病院の責任を問うには、まず示談交渉があります。調停を申し立てることもあります。示談や調停で合意できなければ、訴訟を起こします。投薬や処置の誤り、なすべき処置をしなかったなど病院の過失の有無や、過失と病状悪化との因果関係の立証が必要です。そのため遺族からの聞き取りや打ち合わせに十分な時間が必要です。
 医療事件は多くの費用と労力が求められます。専門の弁護士に十分に相談して、どうすべきか検討してください。

弁護士 三角恒