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暴力ふるう長男、相続させたくない(熊本日日新聞 2017年5月31日付)

2017.05.31
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 私の夫は80歳で体調を崩しています。2人の子どものうち、長男は定職に就かず、賭け事などで浪費しては夫にお金を要求します。応じなければ暴力をふるいます。長男に相続させない方法はありませんか。

 A 相続人に相続させないための方法として、家庭裁判所に相続人廃除の申し立てができます(民法892条)。
 申し立てをすると、相続人(長男)の被相続人(夫)に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行などが認められれば、相続人から廃除できます。
 生前の申し立てが「怖い」というような場合は、遺言で廃除の意思表示ができます(民法893条)。その場合は、遺言で遺言執行者を定めておきます。遺言執行者が、相続人廃除の審判を申し立てます。
 相続人廃除が認められた例としては、(1)相続人である子が経済的に余裕があるのに年老いて病床にある父母に生活費を与えず侮辱的な暴言を吐く(2)相続人である子が無断で父の金を使い込んだり借金を父に負わせたりしても連絡しない(3)相続人である夫が入退院をくり返す病気の妻がいながら愛人をつくり家に帰らず妻に冷淡な態度を取り続ける-などがあります。また、相続人である妻が家事をまったくせず浪費を繰り返し家に寄り付かない-というケースも廃除が認められると考えられます。
 いったん相続人廃除が決まっても、被相続人はいつでもその取り消しを家庭裁判所に求めることができます(民法894条)。

弁護士 吉村俊一