せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 天井から漏水、家電弁償は(熊本日日新聞 2017年6月28日付)

天井から漏水、家電弁償は(熊本日日新聞 2017年6月28日付)

2017.06.28
その他 その他

 Q 賃貸アパートに住んでいます。天井から大量に水が漏れてきて、部屋のテレビや冷蔵庫などの家電製品がぬれて壊れてしまいました。だれに弁償してもらえばよいのでしょうか?

 A 建物内での漏水事故の場合、水漏れを発生させた人に不注意や落ち度(過失)などがあれば、その人に対して壊れた家電の購入費用などを請求することができます。例えば、上の階の住人が不注意で風呂の水を出しっ放しにしてあふれさせて、下の階が浸水してしまったような場合です。
 ただ、上階の住人に過失がないこともあります。アパートの給排水設備が、老朽化で壊れて漏水してしまった時などです。この場合、「土地の工作物」である建物が、通常備えるべき安全性を欠いていることを理由に、建物の所有者に対してその責任を追及することができます。これを土地工作物所有者の責任(民法717条)といい、所有者に過失がなくても責任を問うことができる「無過失責任」です。
 このように、賃貸アパートで水漏れ事故が発生した時の弁償は、(1)だれの過失によるものか(2)建物自体が通常備えるべき安全性を欠いていたか-といった原因の特定が重要となります。もっとも、原因が分かっても漏水が発生した場所によっては、そもそも「土地の工作物」といえるのか判断が難しい場合もあります。まずは弁護士にご相談ください。

弁護士 今村一彦