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子どものバイク事故(熊本日日新聞 2013年8月17日付)

2013.08.17
交通事故 交通事故

Q 高校2年生の私の子ども(16歳)が、バイクで歩行者に衝突して、けがをさせる事故を起こしてしまいました。私は親として、被害者に対して損害賠償責任を負うことになるのでしょうか。

A 未成年者がバイクや自転車で、歩行者に対して事故を起こすケースが増えており、その両親が困ったことになるケースも多くあります。
 民法709条が不法行為に関する規定ですが、故意や過失で事故を起こして他人に損害を与えた者は、その損害賠償責任を負うことが定められています。しかし、民法712条は、未成年者が他人に損害を与えても責任能力を備えていない場合は、損害賠償責任を負わないと規定しています。
 責任能力とは、自らの行為の責任を理解する能力のことですが、裁判例では、小学生以下が無能力と判断され、それより上の年齢であれば責任能力が肯定されるケースが多いのです。
 本件の場合、免許を取得した16歳の未成年者であれば、通常その責任能力が認められることになります。
 しかし、親に責任がないということになれば被害者が救済されないことになる可能性もありますので、妥当な結論とはなりません。
 そこで、裁判例や学説では、被害者保護の観点から、責任能力のある未成年者の監護者についても、709条の要件が成立する場合は、固有の責任を負うものと理解しています。
 次に、そのバイクが親の名義で、親子でバイクを利用し、ガソリン代も親が負担していた場合など、親に自賠法3条による運行供用者責任が認められる可能性があります。
 親として大事なことは、自転車については家族傷害保険、バイクについては任意保険など、しっかりと事前に被害者のために手当をしておくことです。

弁護士 大村 豊