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生前贈与と遺産分割(熊本日日新聞 2018年4月11日付)

2018.04.11
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 父が亡くなりました。母は既に他界しており、私と兄が財産を相続します。兄は以前、父から多額の商売資金を出してもらいましたが、私は何ももらっていません。相続で兄と差をつけることはできますか。

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 A 被相続人(故人)から生前に財産分け(生前贈与)を受けたり、遺言書による贈与(遺贈)を受けたりした相続人が、残った遺産を法定相続分(兄弟2人であれば2分の1ずつ)どおりに相続すると、不公平が生じます。そこで民法は、残った遺産に生前贈与や遺贈を加えて計算することで、公平に相続できるようにしています。
 生前贈与は、「婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた」場合が該当します。ご質問のように、お兄さんが商売の資金を出してもらっていれば、お兄さんの相続分を減らすことができます。ほかに、相続人が大学を出してもらったり、結婚のために援助を受けたりしていれば、生前贈与となる場合があります。
 しかし、被相続人が「遺産分割の際に生前贈与を考慮しなくてよい」との意思を示している場合は、遺産に含めて計算することができなくなります。ただ、意思表示があったかどうかの確認は、難しいケースがあります。
 生前贈与や遺贈をめぐる判断に迷われたときは、法律の専門家に相談されることをお勧めします。

弁護士 益田敬二郎