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成人した子どもの養育費(熊本日日新聞 2018年5月9日付)

2018.05.09
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題

 Q 離婚を考えています。妻との間には2人の子どもがいて、上の子は21歳の大学生です。2人とも妻が引き取りますが、成人している子どもの養育費は必要でしょうか。

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 A 養育費の請求は、監護している親からもう一方の親に対して、未成熟な子どもの養育に関連した費用を求めるものです。未成熟な子どもとは、親の監護なしには生きていけない子どものことで、「未成年」とは異なります。
 一般的には、成人(20歳)までが未成熟な子どもですが、そのとらえ方は時代とともに変化しています。2000年の判例では、成人した大学生について「四年制大学への進学率は相当高い割合に達しており、大学卒と高校卒とで就職に差がある現状では、子どもが20歳に達した後も大学の学業を続けるため、その生活時間を優先的に勉学に充てることは必要である。その結果、学費、生活費に不足が生じる場合もある」として、養育費を請求できる場合があることを認めています。
 成人に達した子どもでも、病気で自活できない場合の治療費や生活費の不足分の請求は、認められる可能性が高いでしょう。また、大学生や専門学校生の学費や生活費については、進学先が卒業後の就職や経済的自立に役立つ教育機関かどうか、進学の経緯や親の意向、親の財力、生活費の負担状況、奨学金やアルバイトによる穴埋めの可能性などの諸事情を考慮して判断されることになります。
 総合的な判断となるので、まずは専門家にご相談ください。

弁護士 三浦宏之