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奨学金のローン化問題(熊本日日新聞 2014年2月15日付)

2014.02.15
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Q 25歳の派遣社員です。大学時代の奨学金の借入金が600万円ほどあります。就職したら給与で返せると思っていましたが、派遣社員で給与は10万円程度なので、返済できません。免除される方法はないでしょうか。

A 以前は奨学金が無利子であり、一部は返還も免除されるなど給付的なものでした。しかし、行政改革によって性質が変わり、有利子のものがほとんどで、今や奨学金は9兆円規模のローン市場になっています。
 例えば、大学4年間に毎月12万円と入学金などを利用すれば、借入額は600万円程度になります。仮に金利3%として計算して、20年間で返済するとなると、毎月3万5000円程度、総額にして800万円を超える金額になります。
 ところが現実を見ると、大卒者の4割が正規社員に就けない状況で低所得者が増え、延滞者が急増している状況です。
 奨学金がローンとして扱われるようになったため、利用者の負担軽減というより回収を強化する傾向に有り、十分な救済制度がありません。年収300万円未満で返還が困難な場合、猶予を受けられる場合がありますが、その期間は最大5年です。減額返還制度も創設されましたが、滞納の場合、個人信用情報機関へ登録することを条件としており、利用しにくい状況です。
 これは政治問題として解決しなければならない問題でもありますが、現状では、これらの制度を利用して負担を軽くしていく方法しかありません。

弁護士 田中 裕司