相続放棄の熟慮期間(熊本日日新聞 2016年12月20日付)
2016.12.20
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Q?県外で暮らしていた父が9月に亡くなりました。父には預金がありましたが、郵便物から借金があることも分かりました。借金はほかにもあるかもしれません。相続するかどうかを悩んでいるうちに、年末を迎えてしまいました。
A 相続放棄しなければ、相続人であるあなたが借金も背負わなければなりません。相続を放棄する場合は、被相続人である父の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、戸籍謄本などの必要書類を提出し、放棄を申し立てる必要があります。
通常は、自己のために相続の開始(被相続人の死亡など)があったことを知った時から3カ月の熟慮期間内に申し立てる必要があります。しかし、熊本地震が起きた4月14日に県内に住所を有していた相続人については、特例として熟慮期間が今月28日まで延長されています。
住民票が県内になくても、家裁が勤務証明書や公共料金の記録から生活拠点が県内にあったと判断すれば可能です。
ただ、借金の詳細が不明で、すぐに放棄を決断できないかもしれません。借金は時効になっていたり、過払いがあったりする場合もあります。
借金を調べる方法として、債権者や信用情報機関への開示請求があります。時間を要しますので、28日までに熟慮期間のさらなる延長を申し立てたほうがよいでしょう。期限が迫っています。できるだけ早く検討してください。
弁護士?森あい?