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成年後見制度(熊本日日新聞 2017年3月21日付)

2017.03.21
震災関連 震災関連

 Q 高齢の母に義援金などが支払われましたが、お金を管理している兄が勝手に使っているようです。どうしたらいいでしょうか。

 A お母さまお一人では、財産管理は難しいようです。お兄さまとの間でトラブルも生じているので、財産管理を弁護士や司法書士などの第三者に任せることをお勧めします。
 第三者に財産管理などで援助してもらう手段として、成年後見制度があります。この制度は2種類があり、判断能力が不十分ならば「法定」成年後見、判断能力が十分にある場合には「任意」後見契約となります。
 法定成年後見は、家庭裁判所に成年後見開始の審判を申し立て、家裁が適当な後見人を選任する制度です。
 一方、任意後見契約は、財産管理を任せたい人を本人があらかじめ決める制度です。判断能力が十分ある間に財産管理を委任しておき、判断能力が不十分になった後、任意後見が開始されるような契約をするとよいでしょう。契約には公正証書の作成が必要です。
 お兄さまがお母さまの通帳を持っている場合でも、成年後見人などが手続きをすれば、預貯金の管理が可能になります。勝手に使われたお金の返還も請求できます。
 お母さまの財産を勝手に使うことは、高齢者に対する経済的虐待に当たります。場合によっては市町村に相談し、虐待として対応してもらうことが必要かもしれません。
                           弁護士 福永紗織