相続人いない親戚の遺産どうする?(熊本日日新聞 2017年1月25日)
2017.01.25
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 私の叔母のご主人Aさんが亡くなりました。叔母はすでに亡くなっており、Aさんには兄弟も子どももなく相続人となるべき人はいません。遺言もありません。私は、叔母が亡くなったあと10年間、Aさんの生活の面倒を見てきましたし、入院後も看護に努めました。Aさんには自宅や預金などの財産があります。この遺産はどうなるのでしょうか。
A Aさんには相続人がなく、遺言もありませんので、Aさんの遺産は原則として国庫に帰属することになります。しかし例外的に、相続人に当たらなくても、Aさんと生計を共にしてきた人や療養看護に努めた人など、その人と特別な縁故があったと認められる人(特別縁故者)は、遺産の全部または一部を分与してもらえる制度があります。したがって、あなたも特別縁故者として遺産の全部または一部を取得できる可能性があります。
その方法ですが、相続人がいませんので、まず家庭裁判所に遺産を管理処分する相続財産管理人を選任してもらい、その後、家庭裁判所に特別縁故者に対する財産分与の審判申し立てをすることになります。家庭裁判所はあなたが特別縁故者に当たるかどうか、また当たるとして遺産のうちの何を、どの程度を分与するか決定します。
あなたが特別縁故者に当たるかどうかの判断が必要ですし、申し立てをすべき時期や期間の制限などもありますので、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士 三浦宏之