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葬儀費用、遺産から出してよいか(熊本日日新聞 2017年2月22日付)

2017.02.22
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 父が亡くなり、葬儀では長男の私が喪主を務めました。葬儀費用は私が支払ったのですが、香典を葬儀費用に充ててもよいでしょうか。香典で足りなかった葬儀費用については、父の遺産から清算してもよいでしょうか。

 A まず、香典は一般に、葬儀費用の一部を負担して遺族の負担を軽くすることを主な目的とする金品の贈与と考えられますので、香典から香典返しに充てられる費用を精算した残額については、葬儀費用に充ててかまいません。
 次に、香典では葬儀費用に足りなかった場合、不足した葬儀費用を誰が負担すべきかについては、法律上定めがありません。大別して、(1)喪主が負担すべきとする説(2)相続人が共同して負担すべきとする説(3)遺産から支出すべきとする説(4)慣習・条理に従うべきとする説-の四つの考え方がありますが、どの考え方が決定的というわけではなく、事案によって個別に判断するほかありません。
 例えば、喪主が中心となって葬儀を取り仕切るような場合には、喪主の負担が考えられます。相続人が協力して葬儀を行っているような場合には、相続人が共同で負担することが考えられます。この場合でも、被相続人の社会的地位や遺産の額に照らして葬儀費用があまりに高額な場合には、相当と認められる範囲を超える部分については喪主負担とすることも考えられるでしょう。
 個々の事案によって判断が異なります。弁護士への相談をお勧めします。

弁護士 袋田知花