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遺産分割における「寄与分」(熊本日日新聞 2017年5月17日)

2017.05.17
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 父が早くに亡くなり、病弱な母を看病しながら、家業の小さな商店を約30年間営んできました。妹が1人いますが、県外に嫁ぎ、たまにしか家に帰ることはありません。昨年、母が亡くなり、遺産は自宅と預貯金が少しある程度です。この場合も妹と平等に分けなければならないのでしょうか。

 A 民法に寄与分という制度があります(民法第904条の2)。あなたのような被相続人(お母さん)の貢献者に、多くの財産を取得させて、共同相続人の間の実質的な衡平(つり合い)を図ろうとする制度です。
 あなたのように、共同相続人のうちの1人が、亡くなったお母さんと共同して長年家業に従事したり、お母さんの療養看護や財産の維持・増加に多大な貢献をしたりした場合に、法定相続分による均等割合の遺産分割で、不公平にならないよう配慮する狙いがあります。
 ただし、通常の家事労働程度では、特別の寄与とはいえません。あくまでも「顕著な貢献」でなければなりません。
 その場合、被相続人が亡くなったときの遺産から、寄与分を除いたものを相続財産とみなします。寄与者(あなた)の相続分は、法定(あるいは指定)相続分に従って算定した相続分に、この寄与分を加えたものとなります。
 寄与分は、共同相続人の間の協議で決定します。決まらない場合は、寄与者の請求により家庭裁判所で決めてもらうことになります。

弁護士 吉田賢一