投資信託で資産価値半分に(熊本日日新聞 2017年9月20日付)
2017.09.20
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Q 年金暮らしの70歳です。持っていた2千万円の預金を、証券会社の「もうかります」との勧めで投資信託につぎ込みました。しかし、購入した投資信託は値下がりが続き、今では半分の価値になってしまいました。これからどうしたらよいのでしょうか。
A 投資信託は仕組みが複雑で、リスクも抱えた商品です。このリスクについて十分な説明を受けずに、自分も内容を理解しないまま契約することはやめた方がいいでしょう。
購入した投資信託が、これまでにあなたが投資したことがない商品であった場合や、預金の大部分をつぎ込んで大きな損失を出してしまった場合には、あなたの年齢や取引経験からすると、「適合性の原則」に違反している可能性があります。これは、証券会社や金融機関が、顧客の知識や経験、財産の状況、商品購入の目的に照らして不適当な勧誘をしてはならないというルールで、「取引に向かない人(高齢者)を勧誘した」という事例に当たります。
また、商品のリスクなどについて証券会社が十分な説明を怠ったまま商品を購入させたとすれば、「説明義務違反」に当たる可能性も考えられます。
今回のケースでは、これ以上の損害を出さないためにも早めに解約して残金の返還を求めた方がいいでしょう。既に発生した損害については、会社側の適合性違反や説明義務違反を根拠に、裁判で返還を求めることができます。
弁護士 加藤 修