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借家の原状回復費用(熊本日日新聞 2017年11月15日)

2017.11.15
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 Q 先日、借家を解約して引っ越しました。その後、大家さんから通知が届き、住んでいた借家の補修費用などを支払うよう請求されました。全額負担しなければならないのでしょうか。

 A 借家の原状回復費用を、借りた人がどの範囲まで負担するかについては、基本的に契約内容に従って処理されることになります。
 標準的な契約書では、建物の損耗を(1)賃借人の通常の使用で生ずる損耗(2)通常の使用で生じる範囲を超えた損耗-とに分けています。このうち(1)については賃借人に原状回復の義務はなく、(2)は賃借人が原状回復するよう定めていることが多いようです。
 一般的な契約内容について、賃借人がどこまで原状回復費用を負担すべきかを判断する目安として、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」で示しています。建物の自然な劣化や損耗(経年変化)と、賃借人の通常の使用で生ずる損耗(通常損耗)などは、貸す側が負担する、としています。これに対して、賃借人の故意や過失、普通に注意していれば起きないような損耗などについては、借りた人が負担すべき、としています。
 契約によっては、原状回復費用の負担について特約がある場合があります。必ずしもガイドラインに基づいて決められる訳ではありませんが、一応の目安にはなっています。詳しくは弁護士にご相談ください。

弁護士 小山恭令