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賃貸住宅退去時の補修費用(熊本日日新聞 2018年6月6日付)

2018.06.06
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 Q みなし仮設に移る前に、10年ほど入居していた賃貸物件を退去する際、多額の原状回復費用を請求されました。その中には日焼けによる畳の表替えや、クロスの張り替え費用がありましたが、支払わなければならないのでしょうか。

?

 A 原状回復の費用は、通常の使用で損耗した場合や、経年劣化によるものである場合は、基本的に退去時でもその修繕代を支払う必要はありません。そうした費用は、必要経費として賃料の中に含めて家を借りた人が支払っている、と考えられているからです。
 今回のような畳やクロスの日焼けは、10年も住んでいれば当然起こり得ることと言えます。通常の損耗、経年劣化と見て、退去する際の精算であらためて支払う必要は基本的にありません。このことは、畳やクロスに限らず、室内のほかの部分にも言えることです。
 しかし、借りる側が補修費用を負担する通常の損耗の範囲を、賃貸借契約書に具体的に明記していることがあります。また、貸主が口頭で補修費用について説明し、明確な合意があると見なされるケースもあります。こうした場合は、通常の損耗、経年劣化であっても、補修費用を支払わなければならなくなる可能性があるので、注意が必要です。
 原状回復については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が非常に参考になります。自分の事例がどれに当てはまるのか、ガイドラインを参考にされるとよいでしょう。

弁護士 室屋隼人