行方不明者への遺産分割(熊本日日新聞 2018年6月20日付)
2018.06.20
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 数年前の豪雨災害で、叔父が行方不明になってしまいました。祖父の遺産分割を行うために、叔父の印鑑が必要ですがどうすれば良いでしょうか。また、叔父が掛けていた生命保険を受け取ることができますか。
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A 叔父様が数年間も行方不明になっているとのこと。まずは、家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立ててください。選任された財産管理人が、叔父様に代わって遺産分割協議を行うことができます。
不在者の財産管理人は、叔父様の生死が判明するまで財産の管理を行うのが職務となります。生命保険金を受け取るためには、叔父様の死亡が確認されなければなりません。
では、保険金を受け取るにはどうすればよいのでしょうか。東日本大震災では、津波により多くの方々が行方不明になりました。こうしたご遺体が発見されていない方の場合では、死亡届を提出できる「認定死亡」という方法がとられます。
ご相談のケースも、叔父様の死亡届が受理されると、保険金の受け取りが可能になります。また、行方不明となった原因が水害のため、危難(水害)が去った時から1年間、生死が明らかでない場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行うことができます。裁判所が失踪宣告すると、「危難が去った時」に死亡したと見なされます。
市長村長が所在不明の高齢者(120歳以上)を戸籍から除く手続きもありますが、失踪宣告と異なり、死亡とは見なされないので注意が必要です。
弁護士 森 徳和