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アパートの敷金(熊本日日新聞 2018年8月15日)

2018.08.15
賃貸借 賃貸借

 Q 賃貸アパートから退去しましたが、クロスの汚れやフローリングに傷があるといって、入居した時に支払った敷金を返してもらえませんでした。返してもらえると聞いたことがあるのですが-。

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 A 敷金は、賃貸借するにあたって借り主が貸主に支払うべき債務を担保することを目的に、借り主が貸主に渡す金銭のことをいいます。分かりやすくいうと、借り主が家賃を滞納したり壁に大きな穴をあけて修理費が必要になったりした時などに、その支払いの担保として貸主に預けておくお金です。
 あくまでも担保なので、使わなければ、退去時に借り主に全額返還されます。賃貸借契約では、借り主は部屋を借りた時と同じ状態にして退去しなければならない原状回復義務を負います。ただ、通常の使用でできた汚れや傷までは、原則としてその義務に含まれません。
 そのため、今回の質問のケースでは、その汚れや傷が通常の使用で発生したものであれば、借り主は原状回復義務を負わずに、敷金全額の返還を受けることができます。しかし契約書に、通常損耗でも敷金から差し引く特約や、退去時一律に一定額の敷金を控除する敷引き特約がある場合には、返還を受けられないこともあるので注意が必要です。
 これらの特約があっても、その特約自体が無効となるケースもあります。いずれにしろ、賃貸借契約を結ぶ際には、敷金の扱いについて十分に確認をすることをおすすめします。

弁護士 山口和哉