隣家の増築、日当たりが心配(熊本日日新聞 2018年 8月29日付)
2018.08.29
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Q 私の家の南側にある家が増築中です。こちらに近づく方向に建て増しているので、家に日が当たらなくなりそうです。我慢しなければならないのでしょうか。
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A 隣家の新築や増築などで日照を妨げられるようになることは多々ありますが、その救済には困難な要素もあるため、泣き寝入りされている方も多いのではないでしょうか。
これまで裁判で争われた事例を紹介します。建築工事が終わってから日照を妨げられたことによる土地の値下がり分の損害と精神的損害として慰謝料を請求した、建築工事開始前や工事中に工事の禁止を求めた-といったケースがあります。それぞれ裁判所が訴えを認めたり、認められなかったりした場合があります。
裁判所が判断するポイントは、日照の阻害の程度が社会通念上、一般的に受け入れられる程度を超えているか否かです。受け入れられるかどうかの程度は、(1)建物のある場所が商業地域か住居地域か(2)日照が阻害される状況を極力避ける努力がされているか(3)建築基準法や民法の規定に違反していないか(4)実際にどのくらい日照を阻害しているか-などが判断材料となります。
日照阻害の救済については、さまざまな条件が複雑に絡み合っています。一度、専門家に相談されることをお勧めします。
弁護士 吉村俊一