緊急車両との交通事故(熊本日日新聞 2018年10月10日付)
2018.10.10
交通事故 交通事故
Q 妻と車に乗っていたら、遠くからサイレンが聞こえました。「火事かな」とは思いましたが、突然、一方通行の道路からパトカーが飛び出してきました。私の車の右ドアにぶつかり、パトカーは近くの家に激突。妻がけがしました。私に賠償する責任はありますか。
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A 事故に遭われたこと、お見舞い申し上げます。パトカーや車の修理、家の補修費用など多くの賠償が発生するケースです。ただ、道路交通法でパトカーなどの緊急車両は「停止しなければならない場所でも停止しなくともよい」とされ、緊急車両がいる時にほかの車両は交差点に進入してはならないという決まりもあります。
緊急車両と一般の方との交通事故の裁判例では、通常の事故のように「過失割合」を検討せず、市民側に7割の過失、緊急車両側の過失を3割とするケースが多いのが現状です。市民側の負担が重くなる、と言わざるをえません。
しかし、緊急車両は交差点で停止する必要がないものの、「ほかの交通に注意して徐行しなければならない」という決まりもあります。緊急車両の唯一の義務と言えるでしょう。徐行とは「車両が直ちに停止できるような速度で走行すること(通常は時速10キロ程度)」なので、今回のケースではこの点を強調して少しでも負担を減らす方向で交渉を進めることになります。
ただし、実際に裁判をするとなると弁護士費用など費用対効果の問題もあります。どこまで争うべきかの判断が、実は難しいところ。状況に応じた解決のため、弁護士にご相談ください。
弁護士 板井俊介