遺言の民法改正(熊本日日新聞 2019年1月16日付)
2019.01.16
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 遺言書を作ろうかと思います。文言すべてを自分で書くのは、遺産目録もあって大変です。今年から、遺言を簡単に作れるようになったと聞きました。どのような制度ですか。
?
A 民法は、明治29年の制定以来、120年ぶりに大きく改正されました。民事と商事で異なっていた法定利息が原則一律3%になるなど、200項目に及ぶ改正が順次施行されています。
民法のうち、親族法や相続法についても大改正が行われました。例えば、これまで遺産分割前には下ろせなかった預貯金が、裁判所の許可を得れば総額の3分の1までなら相続分に応じて下ろせるようになります。
中でも、13日に施行されたばかりの改正に、ご質問の自筆証書遺言の作り方があります。これまで自筆証書遺言は、遺産目録も含めて、全文すべてを自分が手書きしなければ、有効と認められませんでした。これでは、大きな手間がかかります。しかし、1月からはパソコンで目録を作成したり、通帳のコピーを添付したりしてもよいことになりました。
ただし、印刷した目録や通帳のコピーなどは、すべてのページに自ら署名押印をする必要があります。本人の意思確認のためで、表と裏の両面に手書きではない記載があるときは、両面ともに署名押印が必要とされています。
作りやすくなった自筆証書遺言を活用して、相続が家族間で争う「争続[そうぞく]」とならないようにしましょう。
弁護士 北里敏明