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会社辞めたい、法的に問題は?(熊本日日新聞 2019年5月8日付)

2019.05.08
労働問題 労働問題

 Q ある会社に入社しましたが、仕事にどうしてもなじめないので退職したいと思っています。でも、上司になかなか言い出せません。退職で法的な問題が生じることはありますか。

 A 最近では、退職手続きを本人に代わって行う「退職代行サービス」が登場しています。基本的には労働者から退職することは自由で、使用者の承諾は必要としません。従って原則としては、単に退職届を会社に提出すれば問題は生じません。
 ただし、期間を定めていない労働契約の場合、民法上では原則として退職する日の2週間前までにその意思を表明する必要があります。期間を定めた労働契約の場合では、「やむを得ない理由」があれば、すぐに退職することができます。「やむを得ない理由」については、就業環境や労働者の健康状態などの諸事情を考慮することになっています。
 労働契約期間の開始から1年がたっていれば、有期雇用であってもいつでも退職できます。契約期間途中で退職する場合に違約金などを課すことは法律で禁じられているので、「いま辞めるなら賠償金を支払え」などという会社の要求は違法です。
 各種技能研修の費用などについて、使用者から返還を求められるケースがあります。過去の裁判例では、研修の受講が仕事の上で実質的に必須だったか、研修が業務の一環だったか、などを考慮した上で、労働者の退職の自由を奪うことにつながる請求は認められない、とされています。

弁護士 北條将人