夫と離婚、住宅ローンは?(熊本日日新聞 2019年6月19日付)
2019.06.19
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題
Q 10年前に夫名義のローンで自宅を購入しました。私が連帯保証人です。夫と離婚する場合、財産分与で住宅ローンと私の連帯保証はどうなりますか。オーバーローンの場合についても教えてください。
A 住宅ローンよりも自宅の価値が高い場合には、自宅の価値から住宅ローンの残額を引いた金額が財産分与の対象です。
自宅を第三者に売却する場合は、売却代金から売却費用と住宅ローン残額の全てを差し引いた金額の2分の1ずつを夫婦で分けます。2人のどちらかが自宅を取得する場合には、自宅の価値から住宅ローン残額を差し引いた金額の2分の1を相手に支払うことになります。
夫が住宅を取得すれば、離婚後も夫がローンを引き続き支払います。連帯保証人が妻の場合でも保証はなくなりません。連帯保証を外すためには、金融機関の承諾が必要となります。
ローン残額よりも住宅の価値が低い、いわゆるオーバーローンの場合には、住宅の価値はゼロとなり財産分与の対象とならない、というのが多くの裁判例です。自宅を売却しても分与すべき財産はなく、住宅ローンだけが残ります。夫がローンを組み、妻が連帯保証人のときは、売却代金を控除した残額を2人で支払わなければなりません。
仮に夫が自宅に住み続けても夫婦間で財産分与はなく、夫のローンや妻の連帯保証もそのままです。連帯保証を外すには金融機関の承諾が必要ですが、オーバーローンのときには承諾を得るのは難しいでしょう。任意整理などの方法を考える必要があります。
弁護士 三角 恒