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遺言で友人に財産贈りたい(熊本日日新聞 2019年5月22日付)

2019.05.22
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 公証役場で公正証書遺言書を作り、お世話になった友人2人に財産の一部を贈りたいと思います。ただ2人は高齢で、私より先に亡くなるかもしれません。その場合、私の死後、財産は誰の物になるのでしょうか。

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 A 遺言で財産を贈与することを「遺贈」、贈与を受ける人を「受遺者」といいます。
 受遺者が遺言者より先に亡くなると、原則としてその財産に関する遺言は無効となります。遺言者があらためて遺言しない限り、財産は遺言者の配偶者や子などの相続人が相続することになります。
 ただし、あらかじめ遺言書に「受遺者が遺言者より先に亡くなった場合、その財産を××に遺贈する」と記載しておけば、記載された人がその財産を取得できます。これを「補充遺贈」と言います。
 したがってご質問の場合では、友人の1人が先に亡くなってしまったときに「その友人の家族に遺贈したい」とか、「もう1人の友人にまとめて遺贈したい」という気持ちがあれば、その旨を記載した遺言書を作成しておく必要があります。自分で遺言書を作る「自筆証書遺言」の場合も同様です。
 遺贈には、ご質問のように相続人以外の第三者に特定の財産を遺贈する場合以外にも、相続人に特定の財産を遺贈する場合、相続人と第三者に特定の財産を遺贈する場合など、さまざまなケースが考えられます。そのような場合、遺言書に記載された文言次第では、思いがけない人に財産が遺贈されてしまうことがあります。遺言書を作る前に、あらかじめ専門家に相談することをお勧めします。

弁護士 益田敬二郎