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自筆遺言書どこに保管(熊本日日新聞 2019年8月28日付)

2019.08.28
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 私の死後に残される妻や子どもたちが笑顔で暮らしていけるよう、考えに考え抜いた遺言を作成しました。どこに保管すればよいか悩んでいます。

 A 遺言には、主に公証役場で作成する公正証書遺言と、自ら作成する自筆証書遺言があります。公正証書遺言は公証役場で保管してもらえますが、自筆証書遺言は遺言者が自ら保管しなければなりません。一般的には自宅の金庫や机の引き出しに保管することが多いようです。
 しかし、自宅で保管すると紛失してしまったり、相続開始時に発見されないままになったりする恐れがあります。捨てられたり、隠されたり、改ざんされたりする可能性もゼロではありません。
 こうした心配をなくし、遺言制度をより利用しやすくするため、2020年7月10日から法務局が自筆証書遺言を保管する制度が始まります。遺言者が作成した自筆証書遺言を、法務局(遺言書保管所)で預かります。保管申請の撤回はいつでもでき、遺言者の生存中は遺言者以外の方が保管された遺言書を閲覧することができないので、秘密も守られます。
 遺言者が亡くなり、相続を開始したときは、相続人などが法務局に対して自らを相続人とする遺言が保管されているかどうかを照会することができます。遺言が保管されていれば、その遺言を閲覧したり、画像情報を用いた証明書の交付を請求したりすることができます。
 遺言書保管場所に保管された遺言については、家庭裁判所による検認手続きが不要となるので、相続人にとってもメリットがあるといえます。

弁護士 伊藤英範