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「無料」と説明、契約後に請求(熊本日日新聞 2019年9月11日付)

2019.09.11
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 Q 勤務先に広告勧誘の電話がありました。「無料」「今日が期限」などとせかされ、記名押印した契約書を送りました。契約書には「広告掲載料1回5万円」「自動更新」などの記載があり、毎週、請求書が届きます。支払う必要がありますか。

 A 電話で「無料」と説明しておきながら、有料である旨を記載した契約書などに記名押印させて、金額を請求する事例が全国各地で報告されています。
 契約は、当事者間で取り決めた内容で成立します。通常なら契約書に記載された内容が、当事者間で取り決めたものとして認定されます。契約書に広告掲載料などが明記され、広告が実際に掲載されれば、広告料の支払いを余儀なくされる可能性もあります。
 しかし今回のケースでは、電話で「無料」との説明がなされています。無料と説明しておいて金額を請求するのであれば、詐欺罪に該当する行為に当たります。広告料の支払いを免れるためには、詐欺、錯誤、公序良俗違反といった民法の規定に基づいて、その契約を取り消す必要があります。ただ、契約したのが事業者であれば、消費者契約法の保護は受けられません。
 今回のような場合では、弁護士名義の内容証明郵便を相手に送付することで、請求が止まった例もあります。お金は絶対に支払わないで、専門家に相談してください。トラブルに巻き込まれないためにも、契約書に記名押印する場合は、その内容を慎重に検討することが大切です。せかされる場合は、特に注意してください。

弁護士 伊山俊太郎