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分譲地の井戸が損壊(熊本日日新聞 2019年12月18日付)

2019.12.18
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 Q 震災で分譲地の井戸が壊れました。井戸を掘った開発業者から、修理費用の負担を私たち分譲地の購入者が求められています。修理費用を負担しなければならないのでしょうか?

 A 井戸の設備を、分譲地の購入者が共有しているか、開発業者が所有しているのかで、事情が変わってくると思います。ご相談のケースでは、分譲地購入時の契約で給水は無料、井戸設備の維持費として年間3千円を業者に支払うことになっていました。
 壊れた設備が分譲地購入者の共有物である場合は、設備を共有する購入者側がその修理費用を負担しなければなりません。開発業者が行った修理は、共有者である購入者側から委託を受けたものと見なされるでしょう。
 もっとも修理するかどうかは、原則として設備を共有する側が決めることです。開発業者は、契約に根拠があるか、事務管理(緊急事態)として認められる場合でなければ、勝手に修理して費用を請求することはできません。
 一方、設備が開発業者の所有である場合には、業者は修理費用を請求できません。ただ、業者には「井戸設備の維持費で賄いきれない特別の費用が発生した」ことを理由に維持費の増額を求める余地があります。
 増額に応じるかどうかは購入者側の自由ですが、応じなければ開発業者が井戸設備による給水をやめてしまうリスクがあることを考えておかねばなりません。双方の話し合いによる契約変更など、解決に向けた合意が必要となります。

弁護士 國弘正樹