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パワハラ防止法(熊本日日新聞 2020年3月11日付)

2020.03.11
労働問題 労働問題

 Q パワハラ防止法が成立したと聞きました。どのような内容でしょうか。

 A 2019年5月に法律として初めてパワハラを定義し、対策を強化する法律が成立しました。施行は20年6月。中小企業に対しては、22年4月までの間、努力義務が課されます。
 この法律におけるパワハラとは、(1)職場で行われる(2)優越的な関係を背景とした言動(3)業務の上で必要かつ相当な範囲を超える-内容であるものをいいます。
 法律が施行されると、労働者がパワハラについて相談しやすい体制を整備することなどが事業主に義務付けられます。加えて、厚生労働大臣がこれに違反する事業者に勧告し、事業者が勧告に従わない場合は公表することができるようになります。
 また、パワハラに関わる労使紛争が起きた場合に、紛争調整委員会が間に入って、調停(話し合い)による解決を目指すことができるようになります。紛争調整委員会は、労働局が設置する労働問題の専門家でつくる組織です。
 パワハラ対策を強化する法律が成立したことは、評価できると思います。ただ、国が決めたパワハラの判断指針(法律におけるパワハラの定義をより具体化したもの)では、パワハラに該当する範囲を狭く解釈しようとしているのではないか、といった指摘があります。さらに、パワハラ防止のための体制整備義務に違反した事業者に対する罰則規定がないことなどの問題点も残されています。

弁護士 高島周平